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UPDATE|2015/03/17

さくら学院公開授業レポート2限目 最愛ちゃんのスピーチに父兄も涙

さくら学院公開授業「歌の考古学~2014年度~」2限目@TFTホール500レポート 2015.MAR.14


 17時半から始まった2時限目。生徒は菊地最愛、野津友那乃、白井沙樹、倉島颯良、山出愛子の5人。1時限目の授業が素晴らしかったこと、そしてこの2時限目が今年度最後の公開授業ということで、授業開始前のホール内はいつもと違った空気が流れている。 担任の森ハヤシ先生は「これが正真正銘最後の公開授業。悔いのないよう楽しんでいっていただきたい」とコメントし、生徒たちを呼び込んだ。

さくら学院公開授業「歌の考古学~2014年度~」1限目@TFTホール500レポート 2015.MAR.14

まもなく最高学年の白井は、来年度へ立ち向かう気持ちを歌う

●倉島颯良 薬師丸ひろ子『元気を出して』作詞/作曲・竹内まりや

 1984年2月14日にリリースされた、薬師丸ひろ子のファーストアルバムの冒頭を飾る曲。授業で歌う歌を選んでるとき、音楽番組でこの曲が流れ、聞き覚えがあったので調べてみると、小学生の頃、母親が好きで良く聞いていた竹内まりやの曲とわかったという。「今まで(セルフカバーした)竹内さんのバージョンしか知らなかったけど、いろんなアーティストが歌っているのがわかって、他の歌手のバージョンを聞いたら、同じ曲でも雰囲気が違って面白かった。そしてこの曲が多くの人に愛されカバーされるのは理由があるんじゃないかなと思い、歌詞を自分なりに解釈してみました」と語る倉島。

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 「失恋した女性を慰める歌だけど、恋愛じゃない別のことでも励ましていると解釈できるし、自分の置かれてる状況にもピッタリ」と感じた倉島は、この曲を題材に決めたのだ。そして最初にこの曲を歌った薬師丸ひろ子について調べ、歌手そして女優としての凄さを知り、歌の世界観を大切にしながら歌いたいと、倉島はまとめた。

 彼女の歌声は、少し鼻にかかったような甘い柔らかさがあり、竹内まりやの若い頃の歌声を彷彿させるものがあると感じた。少女らしい凜とした清々しさも感じられ、耳に心地よい歌唱だ。

 倉本校長は「緊張してるようで意外と正々堂々としてた」と評し、このメロディを気に入ったなら、竹内まりやについてもっと調べればお母さんとの会話にもなるし、とアドバイスした。森先生は「歌っている姿がジブリヒロイン感あるよ」と褒めて拍手をもらった。感想を求められた野津は「はあ~キンチョー……お腹痛い」と訴えて、「自炊が悪かった?」と森先生のツッコミも冴えた。


●白井沙樹 the brilliant green『There will be love there -愛のある場所-』作詞・川瀬智子/作曲・奥田俊作

 1998年5月13日リリースの3枚目のシングル。さくら学院の今年度のシングル『ハートの地球(ほし)』の作者ということで、CDレンタルショップで見つけた彼女たちの昨年のベストアルバムを借りて聴いてみたところ、1曲目であるこの曲を非常に気に入ったそうだ。「同曲の歌詞が今の自分にピッタリ」ということだ。

 そしてthe brilliant greenやTommy february6について調べたことを発表した白井は、次に歌詞の解釈を始める。歌詞の冒頭「大きな曲がり角」を自分に当てはめ、「来年度」と解釈した白井。いよいよ中3になる来年度の自分に置き換えた解釈は続く。「今の中3がいなくなったらどうなるんだろうという不安、そして全てに立ち向かう強さを下さい、という歌詞もよくわかります」と、心の中にある来年度への想いを重ね合わせていく。

 そんな今の時期の気持ちを込めた白井のアカペラは、透明感あふれる声質が心地よい。技術的にはまだまだ伸びしろがあるが、歌詞をじっくり解釈しただけあって、感情の込め方には非凡なものを感じる。

 倉本校長は「さくら学院の曲を作ってくれた人のことを調べるのは良いことだと思う。初期の曲から、最近さくら学院のために作った曲まで、地続きで考察するともっといろいろなことがわかるはず」とアドバイスした。

 森先生は「最近の曲だと思ったけど、白井生まれてないんだ? トミーさんもなかなか年が……」と笑わせた。白井は「緊張した~」と青息吐息(笑)。最後に森先生は「トミーさんオバサン扱いしてすみません」と笑わせた。


次ページは、野津がトーク委員長らしい、楽しく感動の発表を見せる


名前にもある“愛&rdquo:をまっすぐに伝えた、生徒会長・菊地最愛

●野津友那乃 菊池桃子『卒業-GRADUATION-』作詞・秋元康/作曲・林哲司

 1985年2月27日発売の4枚目のシングル。文字通り卒業ソングで、40万枚近くを売り上げて彼女自身最大のヒット曲となった。

 「作詞の秋元さんはAKB48などのプロデューサーとして有名で、最近の人かと思ってたけど、こんな昔から活躍してるなんて、一体何歳なんだろう?」と場内を笑わす野津。続いて、母親と菊池桃子が中学の同級で仲が良かったというエピソードで驚かせる。幼い頃から母親の自慢話として聞かされていた野津は、最後の歌の考古学は菊池桃子の歌にしようと決めたそうだ。そして卒業ソングである同曲に運命を感じたという。

 そして「今はアイドル戦国時代と言われて……」と唐突に語り出す野津。戸惑いの笑いが父兄たちに広がる中、野津は「黄金時代だった80年代アイドルのキャッチコピーについて」話題を展開する。菊池桃子は「It’:s Real Fresh 1000%」だが、その他にも面白いキャッチコピーがたくさんあったと披露した。

 「山瀬まみ=国民のおもちゃ新発売で、友那乃や最愛は多分違うオモチャを想像してる」と爆弾発言をかまして父兄たちは戸惑いを含んだ爆笑に包まれた(笑)。浅香唯=フェニックスから来た少女の“フェニックス&rdquo:を宮崎県じゃなく不死鳥と勘違いした野津のイラストも笑えるが、当時同じように不死鳥と勘違いした「バイクでブンブンって感じの人に応援されてたそうです」と爆笑エピソードで沸かせた。

 さすがはトーク委員長というキレのあるプレゼンで会場を沸かせた野津。最後は「歌詞のラストの、あれほど誰かを愛せやしないと、の部分をいつも支えてくれるメンバーや先生方、いつも優しく見守って応援してくれる父兄のみなさんを思いながら歌います」と締めて大きな拍手を浴びた。

 そんな野津の歌は、高音の良く通る透き通った声で、歌詞にじっくりと想いを込めるような歌に大きな拍手がわき起こった。

 倉本校長は「さすがトーク委員長」と、まずは笑い声にあふれたプレゼンを評する。野津は「父兄さんが見守ってくれてて安心しました」と言うと堪えきれず大粒の涙をこぼす。再びわき起こる拍手。「お母さんの自慢話がこんなところで役立つとは」と、しんみりした会場を笑わせる。森先生は「菊池さんより上手だった?」と爆笑を呼んだ。


●菊地最愛 Kiroro『未来へ』作詞/作曲・玉城千春

 沖縄出身の女性2人組グループの、1998年6月24日にリリースされたセカンドシングル。プレゼンを始めた菊地は、まず卒業写真集の撮影で訪れた沖縄での思い出を語り始める。「沖縄と、この5年間さくら学院生として歩んできたこと、これからの未来について何か残せる歌があればと考えて、調べて選曲した」のが同曲。

 「Kiroroというグループ名はアイヌ語で、心・愛・力を意味していて、さくら学院にピッタリ。いろいろな国で歌われていて、ブルネイでは日本語で歌われている」と、グループ名、そして曲についての説明をする菊地。なぜブルネイでヒットしたのか、ブルネイ大使館に電話して調べたという菊地。「きっかけはラジオ。現地のラジオDJが気に入って曲をかけたところ、気に入ったリスナーからのリクエストが殺到したそうです」。

 文章の構成をよく考えて、完結にまとめられた菊地のプレゼンは非常にわかりやすい。なぜこの曲を選んだのかという想いが真っ直ぐに伝わってくる。「日本語のわからない国の人にも愛される曲、Kiroroの『未来へ』。MOAMETALとして海外に行き、言葉の壁を越えて愛される曲があることを知りました。それはとても幸せなこと。音楽は世界共通」と語る菊地の瞳はキラキラと輝いている。

 『未来へ』は母と娘の絆を歌っている。そしてぴったりな優しく力強いメロディ。聴くたびにどんどん好きになっていったと語る菊地。この曲を聞く度、先生やスタッフ、優しい父兄のことが思い浮かぶと言う菊地に、場内からはすすり泣きも聞こえ始める。何て感動的な言葉を紡ぐようになったのだろう。その大きな成長を、客席の誰もが感じているのだ。

 そして、歌詞に重ね合わせ、自分の気持ちをメッセージとして伝える菊地。最愛という素敵な名前をつけられ、愛を大切にと教わり育ってきた菊地。小さい頃は愛の意味もわからなかったが、さくら学院に入って愛についてたくさん考えるようになった。これから歩んでいく道、それを見えるようにしてくれたのは、先生、両親、そして父兄さん。卒業してしばらく歩んでいく道は、MOAMETALとしての道。この道も絶対に大切にして、菊地最愛として進んでいく道も見つけたい。急がずゆっくり歩んでいって、皆様の記憶に残る最愛でいたい。「メンバー、先生、父兄さん、いつもありがとうございます」と感謝の気持ちを述べて、菊地が歌い出す。

 甘い声質の中に、一本力強い芯のある歌声。歌詞に気持ちを込め、一言一言かみしめるような歌唱。これから磨いていけば、卒業生の武藤彩未や中元すず香に続くシンガーになるのではと期待させる歌声だ。

 倉本校長も「正直言葉がないわ」と、感動した様子だ。菊地の目にも涙があふれている。森先生も賞賛の言葉以外に見つからないようだ。倉島は「めっちゃ感動した」と声を上ずらせ、白井は「すごーいー」と頭の中が真っ白な様子だ(笑)。

 倉本校長は最後に「皆、一気に菊地のようにできるわけじゃない。一年一年積みかさねていって成長していくので、今後が楽しみです」とまとめた。

 発表が終わりホッとした様子の生徒たち。野津は「自分はアドリブの効かない子で、最初は公開授業が苦でしかなかった。でも父兄さんが成長を見守ってくれてて、中3になってトーク委員長になって話すことが大好きになり、父兄さんが笑ってくれると本当に嬉しくて、世界で一番幸せ者だなと思えて、たくさん公開授業を受けられて良かった」と涙ながらに語った。菊地は「公開授業終わって寂しい。ここまで来れたのも父兄さんのおかげ。最後いい形で終われたかなって思います」と言いながら、「でもまだ卒業じゃないんですよ、泣かせないでよ」と瞳を潤ませながらおどけた。

 森先生は最後に「中3がしっかりした授業をするのは嬉しいけど、なぜか寂しい気持ちもある。父兄さんたちが1年間公開授業を見に来てくれたおかげで、生徒たちはこんな素敵な子たちになりました」と感謝した。

 70年代後半から90年代後半と、多くの父兄にとって青春時代の楽曲が多かった、本日の授業。やはり1年1年積みかさねてきた中3のプレゼンは構成も見事で、歌の出来も素晴らしかったように思う。今年度の公開授業はこれで終了。あとは2本のライヴを残すだけで、いよいよ2014年度のさくら学院の集大成が近づいてきた。最後にどんなライヴを魅せてくれるのだろうか? 楽しみに待ちたい。

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竹崎清彦 アイドル、ファッション、スポーツ、ゲーム攻略本など幅広く執筆。趣味はライヴ観戦。好きなアーティストを追いかけ世界中どこへでも行きます! 80年代モノに詳しい。 

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