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さすらいヲタ記者旅情編 ひめキュンフルーツ缶・ツアーファイナル「松山サロキ・物語の目撃者」

2015年05月23日 07時00分

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 5月17日、松山サロンキティにて、ひめキュンフルーツ缶の「HimeKyun“DENGEKI”Tour2015ツアーファイナル公演」が開催され、過去最多の公演数だった激動のツアーを締めくくった。

ひめキュンフルーツ缶『TEAR DROPS』

 愛媛県松山市は松山サロンキティにて、ひめキュンフルーツ缶の「HimeKyun“DENGEKI”Tour2015ツアーファイナル」が開催された。昨年12月に発売されたアルバム『電撃プリンセス』を引っさげて、今年1月18日、ファイナルの舞台と同じ松山サロンキティにて開幕したこのツアーは、ひめキュンのツアー史上最長の4カ月間に及び、24箇所26公演というこれまた過去最多の公演数。初の海外でのワンマン公演があり、またシングル『TEAR DROPS』のリリースも重なるなど、目まぐるしいスケジュールとなった“DENGEKI”Tourは、5月17日、ラストを迎えることとなった。

 開演前、ステージに貼られたスクリーンには、ツアーでのライブ写真が次々と映し出されていた。メンバーと一緒に、複数箇所のツアーを駆け巡ったファンは、この時点で感慨深かったと思う。

 BGMの音量が上がり、ツアーファイナルの開始が告げられる。SEはなく、静かにスクリーンが上がると、いつの間にかステージに現れていた5人。『スターウォーズ』のジェダイのようにフードをかぶり、衣装はツアーファイナル限定仕様の黒地に金のスケルトン柄。同じマッドマガジン所属のグループ・キミトサインの『僕が僕であること』のピアノのイントロが流れ、河野穂乃花のフードからわずかにのぞく前髪が金髪ではなくなっていたことに気づいた時、ツアーが終わってしまうんだ……という実感から思わず涙腺が緩んだ。でも、そこだけ。その後、感傷に浸る余裕は一切与えられなかった。

 美しいメロディーを歌い上げる『僕が僕であること』で、いきなりライブ終盤かのような感動的な空気が作り上げられたが、これはもちろん始まり。ツアー初日を除いて、常に一曲目を飾ってきた『それ冗談!これ本気!!』からはいつものひめキュン。5人は瞬く間に感動的な空気を打ち壊した。

 ツアーファイナルの場・松山サロンキティ(以下、サロキ)のキャパが以前より広がったという中での初めてのライブ。超満員のサロキでのライブ。ステージは観客から発せられる熱気により、ツルツルすべってしまう異常事態だったとか。そして、そんな逆境だからこそ、5人は燃える。『アンダンテ』で観客の煽りのため突き上がる拳。蹴り上がる足。この調子で殴られたり、蹴られたりしたら本当に痛そうだ。そして、本当に痛そうだからこそ、ひめキュンというグループを信頼できる。

 かつての定番の流れ『ワタシダイイチキボウ』→『ストロベリーKISS』を経て、最初のMCとなる頃には、半端ない密度もあって、既に疲労を感じていたファンも多かったのではないだろうか。

 この超満員を最初に実感したのは開演前(そりゃそうだけど)。チケットはソールドアウト。一番下のフロアのスペースが埋まり、やっぱり満員感あるなあ、とぼんやり思っていたところに、アナウンス。

「一番下のフロア、あと100人は入れます」

 えっ、ここからあと100人も入るの!? まだ入ってないファンを入れるため、前へ前へ詰めていく中で、わずかなスペースも埋まっていく。こんなに密度が高かったら、モッシュどころか、推しジャンも振りコピもできないんじゃないだろうか? もちろん、それは杞憂に終わり、いざライブが始まったら、どこにこんなスペースがあったのかと思うほど、それぞれが自身の興奮を、思う存分、体で表現することとなる。

 MC明けは、今回のアルバム曲の中でも、生バンドでのライブが待ち望まれていたであろう『飛びかうフール』。そう、“DENGEKI”Tourの中で、この5月17日のファイナルのみ、バンドチューンでの公演。

 生バンドでの『飛びかうフール』……良かった、と思う。「思う」というのは、失礼ながら、このツアーファイナル、バックバンドの印象がほとんどないからだ。

 昨年、シングル『パラダイム』発売を記念して行われたバンドツアーの時も感じたことだけれど、2年前の頃と比べて、生バンドでの公演における、バンドの存在は希薄になっている気がする。もちろん前奏や間奏で音源と違う時などは、「あ、そういえば生バンドだったんだっけ」と思い出すものの、彼女たちのボーカルが響き渡っている時は、自分自身の興奮も相まって、ほとんど生バンドであることを意識する瞬間がない。彼女たちのボーカル力がバンドを支配できるようになるまで進化してる所以なのかどうか、僕には分からない。ただ、少なくとも、2015年の“ひめキュンバンド缶”は、ひめキュンがバンドを従えている、と自信をもって言える。

 この日も、ひめキュンがバンドに主役の座を譲ることは、最後までなかった。前日特典会を欠席せざるを得なかったほど、喉の調子が悪かった岡本真依を始めとして、過密スケジュールにより、必ずしも皆の声の状態は万全ではなかったにも関わらず、だ。むしろ、声がかすれぎみな時もあったからこそ、5人が長いツアーを戦ってきた重みが伝わってきたのかもしれない。特に、岡本にとっては、満足のいく歌唱ではなかったかもしれないけど、誰よりもソロパートの多い彼女の全身全霊をこめた歌声は、ファンの心を動かすには、充分すぎるものだったように思う。
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