祝連載1周年記念! 今回のターンでは、今までの総まとめとして『外国人のボクから見た、日本のアイドルPOPSの特徴5つ』というテーマでお送りしています。第4回目のテーマはこちら。
●その4「オールディーズ風アイドルソングが席巻!」
日本のアイドルソングの特徴のひとつとして上げられるのが、なぜか「オールディーズ風の楽曲が多い」ということ。
オールディーズとは1950~60年代のビートルズの登場以前にヒットチャートを席巻したアメリカのポップスのこと。1970年代には欧米でリバイバルしたこともありました。
ボクはこの当時にオールディーズに触れて、めちゃくちゃ大好物になった。そのハッピーなメロディ、リズミカルなアレンジは聴いてるだけでドキドキ、ワクワクしてくるからね。ロネッツ『ビー・マイ・ベイビー』とか本当に最高だよ!
で、その遺伝子が2010年代のアイドルポップスシーンに、なぜか遺伝しているんです。たとえば……。
・AKB48『ラブラドール・レトリバー』
・AKB48『心のプラカード』・カントリー・ガールズ『愛おしくってごめんね』
・Juice=Juice『Wonderful World』
AKB48『ラブラドール・レトリバー』は1960年代に世界で流行したモータウンレーベルのサウンドみたいだし、カントリー・ガールズ『愛おしくってごめんね』は1963年の全米1位を獲得したエンジェルズ『マイ・ボーイフレンズ・バック』という曲のアレンジが下敷き。Juice=Juice『Wonderful World』はザ・ルーベッツ『シュガー・ベイビー・ラブ』がモチーフ……といったように、一部のアイドルの曲には往年のアメリカンポップスのエッセンスが沢山入っています。
だけど、それが古臭い感じではなくて、最新のサウンドと最新のアレンジで再現されている。これはボクみたいなマニアからすればすごいことなんですよ!
こういうオールディーズ的な楽曲は今のアメリカにはほとんど残ってない。今のアメリカの曲はヒップホップやテクノ/EDMを経過したあとのリズム重視の曲ばかりですからね。そう考えると日本のアイドル界はオールディーズ風の楽曲が残っていて、それがヒットチャートに昇る唯一の国なんです。
そんなことを踏まえながら上記の楽曲を聴くと、また新しいアイドルソングの楽しみ方が広がるよ。
(構成・文/尾谷幸憲 協力/バラン野島)