連載/特集

BABYMETAL『Metal Resistance』に全米が震撼した理由 その3「日本語の響き」

2016年05月12日 07時00分

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 全米チャートにランクインするなど快進撃中のBABYMETAL。彼女たちの2ndアルバム『Metal Resistance』が海外でウケている理由は「メンバーの意識の高さ」「練りに練られた楽曲とアルバム構成」だと解説してきました。でも、もうひとつ重要なことがあるんです。それは一体……!?

BABYMETAL『Metal Resistance』

 さて、BABYMETALの2ndアルバム『Metal Resistance』が海外でウケている秘密を探っているわけですが、まだひとつだけ書いていなかったことがあります。それは今回のアルバムで彼女たちはほとんど日本語で歌っていること。アルバムの最後に『THE ONE [English Ver.]』という英語の曲が入っていますが、本当に1曲だけで良かった、と思っているくらいですから。それはなぜかというと、日本人が英語で歌って大ブレイクしたことがないからです。

 たとえば1980年代にアメリカに進出した日本のヘヴィメタル・バンド、ラウドネス。彼らはBABYMETALと同じで、バンドの演奏がすごくしっかりしてた。ギターもカッコイイ。でもボーカルの発音が日本語的な英語だった。もちろん、それをチャームポイントだと感じる欧米人もいたけど少数派だった。

 90年代前半に松田聖子さんがアメリカで英語のアルバムを出したでしょ? だけどヒットには至らなかった。彼女(とそのスタッフ)はアメリカ英語の発音にしようと相当がんばったと思うんです。だけど、がんばればがんばるほど、声のチャームポイントが薄まってしまうという現象まで起きてしまった。宇多田ヒカル(Cubic U、もしくはUTADA名義)も同じような結末だった。

 いや、日本人だけじゃない。アメリカ人はイギリス訛りの英語でもダメなくらいだから。1990年代にオアシス(英国のロックバンド)がイギリスで大ヒットしたでしょ? でもアメリカでは売れなかった。それはオアシスの英語の発音がイギリス訛りの英語だったせいなんです(逆にビートルズやローリング・ストーンズはアメリカ式の発音をしていた。彼らのルーツはアメリカのロックやブルーズだったので、それに憧れて相当がんばってアメリカ式の発音に矯正したんじゃないかな?)。

 とにかくアメリカ人は発音に関してはうるさくて、他の国の人の英語の発音に寛容じゃないんです。逆に言えばアメリカでウケるには完璧なアメリカ訛りが必要。それが無理ならば、音の響きがユニークな言語(母国語)でやったほうが得策なんですよ。

 みんな気づいていないかもしれないけど、日本語の音の響きには特別な魅力がある。英語にはないチャーミングさ、エキゾチックさがある。BABYMETALがビルボードの39位まで上がったのは、彼女たちの声と日本語の発音に惹かれた人々が多かった、ということでもあるんですよね。

 これはボクの予想だけど、BABYMETALの次のアルバムは英語の曲がもっと入ってくるんじゃないかと思う。アメリカのレコード会社の人々は「英語の曲をたくさん入れたら、もっと売れるぞ!」と言うでしょうから。ボクはいちファンとして、日本語のままでやってほしいと思っていますよ。届け、この願い!!


(構成/尾谷幸憲 協力/佐々木翔)

Marty Friedman
マーティ・フリードマン
ギタリスト、プロデューサー。全米で1000万枚以上のCDを売ったヘヴィメタルバンド「メガデス」に在籍。2004年から日本の音楽シーンでも活躍。ももいろクローバーZ『猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」』への全面参加。ニューアルバム『インフェルノ』(ユニバーサル)が発売中。

新番組『アイドルお宝くじ』にナレーション出演中
<O.A.情報>
テレビ朝日/毎週金曜日 26:50~
BS朝日/毎週土曜日 26:30~
CSテレ朝チャンネル1/11月7日スタート・毎週金曜日 24:00~

【公式HP】http://www.martyfan.com/
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