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UPDATE|2016/06/01

ライムベリー×東京女子流×CreepyNutsスリーマンライブは異種格闘技な熱狂!

テレビ番組『フリースタイルダンジョン』をきっかけに、再び広い層の注目を集めはじめたヒップホップシーン。それとリンクするように今盛り上がりを見せているのがラップアイドル・ライムベリーだ。昨年末にメンバーのMCMIRIが日本最大級のMCバトル大会「戦極MCバトル」に史上初めてアイドルとして参戦。一回戦で敗れるも、同大会のベストバウトのひとつに挙げられるなど、結果を残した事でヒップホップファンからも注目を浴び、その後もMCバトル大会に参戦しては評価を高めている。

 そんなライムベリーが定期的に行っている主催ライブ『韻果MATSURI』のvol.15が5月21日に渋谷VUENOSで開催された。いつもはアイドル中心に出演者が集う同ライブだが、今回は異種格闘技的なスリーマン。まずは『フリースタイルダンジョン』で人気上昇中のラッパー・R-指定のユニット・CreepyNuts、そしてすっかり大人なキレとコクあるパフォーマンスで魅せるダンス&ボーカルグループ・東京女子流。それぞれ他にない武器を持つ3組ならではの熱気あるステージは、前売完売のフロアに理想的な化学反応を引き起こした。

 最初に登場したのは、この日紅一点ならぬ黒一点のCreepyNuts。「かわいい女の子たちの中にふたりのおっさんここに参上!」と挨拶代わりのフリースタイルラップから始まり、新アルバムのタイトル曲『たりないふたり』では「たりない!たりない!」の野太いコール&レスポンスをフロアから引き出す。続いてそれぞれのスキルを魅せるべく、R-指定は客から「水素水」「都知事」など旬なお題をもらっての即興ラップ、DJ松永はターンテーブルプレイを披露。そのひねくれつつも痛快な楽曲と、ラップ初体験のフロアでも盛り上がらせるステージ捌きに終始フロアは跳ねまくり。R-指定も「ホンマによく出来たお客さんや!」とご満悦だ。終盤は「ヴエノス飛び跳ねろ!」と煽る『合法的トビ方ノススメ』と『トレンチコートマフィア』。可愛い子たち目当ての男たちも、最後はおっさん2人の手のひらに完璧に乗せられていた。

 2番手に登場したのは東京女子流。まずは渋谷アンダーグラウンドの空気に似合う『Liar (RE:NDZ Remix)』から『ヒマワリと星屑(Yoshino Yoshikawa ":Pollarstars": Remix)』。CreepyNutsの熱を繋ぐようにコールやジャンプをうながしては「いいねいいね~」と笑顔を見せる新井ひとみ。合間のMCでは、中江友梨と庄司芽生がライムベリーのMIRIと実は同じ学校の同学年だったと告白。特に芽生は3年間同じクラスだったとのことで「(MIRIが)最近金髪にしてね~、可愛くて可愛くて……」といつものステージでは見せない、友達を語る笑顔がなんとも愛くるしい。

 続いて『リフレクション』『Neverever (TJO &: YUSUKE from BLU-SWINGRemix)』などの近曲を中心にパフォーマンス。あらためてこの日のライブハウスの大きさだとクラブ仕様のビートと4人のパワフルなダンスが引き立つ。また黒基調のシャープな衣装もステージを近未来的な空気に仕立て上げていた。後半ではtrfのカバー『Overnight
Sensation~時代はあなたに委ねてる~』で会場を跳ね上げる。平均気温も上昇し、より夏に近づいたこの日にふさわしい1曲だった。

ライムベリーMIRIと同級生の中江友梨(左端)と庄司芽生(右端)は共演に大喜び

 そして最後3組目に登場したのは、もちろんライムベリー。1曲目いきなりブチ上げていくかと思いきや、トランシーなトラックの『Onemore』からしっとりと空気を作り上げていく流れからも、このスリーマンならではの意欲を感じさせる。といってもライムベリーがいつまでも落ち着いた空気のわけがなく2曲目『HAPPYLUCKY』では「さ・わ・げー!」とフロアを底抜ける勢いで跳ねさせる。そしてライムベリーの新・代表曲ともいえる『RightHere』では拳を高く突き上げて「Right Here!RightNow!」のコール&レスポンス。MIRIの逞しくスキルフルなラップと、MISAKIのキュートでタフなアイドルらしさが調和した力強さは胸の昂ぶりを抑えきれない。ライムベリーが今の2人の新体制から1年という現在地を見せるナンバーだ。

 そこから『Because of you』でMISAKIならではのガーリーで優しいラップで包み込んでから『CHANBARA』『365』。盛り上げ曲からリラックス系まで幅が広いこの日のライムベリー。スリーマンということで持ち時間も長め、さらに同級生も含むグループとラップの先輩という2組に勢いだけでないいろんな顔を見てもらおう、というもてなし心を感じさせる。しかし最後は「会場照らし出せミラーボール!」と煽ってからのキラーチューン『MIRRORBALL』。ほぼMCなしノンストップで8曲を歌いきった。

MIRI(左)は力強いラップでフロアーを盛り上げた

MISAKI(左)は甘くキュートな声で会場を包み込む

 すぐさまアンコールで再び出てきたふたり、まずは東京女子流のMCで話題に出た同級生話を。「もともと女子流のことが大好きで、高校に入ったらめいてぃん(庄司芽生)がいて、どうしようかと思ったのを今でも覚えてますね(笑)。『女子流さんのDVD持ってます』っていうのが一番最初の話だったってくらい好きで」と照れくさそうに語るMIRI。そしてラストは『韻果録』『ホシノフルマチ』で異種格闘技的スリーマンの幕を閉じた。ヒップホップ、ダンス&ボーカル、そしてアイドルラップ。それぞれ少しずつリンクする3組ではあるが、何より圧倒的な楽しさでファンがフロアから離れないくらいの熱いステージが何より共通していた。

 この翌日のイベントではMC MIRIとしてのソロライブを行うなど、アイドルとヒップホップ両面での活動が増えてきたライムベリー。この1年磨き上げてきた実力とスタイルは、どんなステージでも爪あとを残せるだけのものがある。格好良くて可愛い、そのさらに上を臨めるのが今のライムベリー。この夏、最高の実りを見せてくれるはず。

(text 大坪ケムタ)

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