コラム

2014ブレイクアイドルを予想 モラトリアムからコンセプチュアル、そして現代音楽まで―グループアイドル編

2014年01月25日 08時00分

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 48グループ、ももいろクローバーZと、グループアイドルの活躍が目立った2013年のアイドルシーン。では彼女たちに続いて、2014年にブレイクを果たすのはどのグループなのだろうか。

 ライブ活動が主体のこのシーンにおいて、ライブの動員力はグループの人気度を探る重要な手掛かりとなる。そこで今回は「ワンマンライブの集客力」を示した、筆者作成による「アイドルライブ動員数表 ver.140114(関連リンク)」を元に、2014年にブレイクするアイドルを予想していこう。

永遠のモラトリアム「私立恵比寿中学」

 まず挙げたいのは「私立恵比寿中学」。北川景子、柴咲コウ、ももクロZを擁するスターダストプロモーション所属で、通称は〝エビ中〟。昨年12月にはさいたまスーパーアリーナでの単独コンサートを成功させ、約1.1万人を動員した。4月には武道館公演を予定している。現状は「アリーナ&武道館級(6000~2万人)」だが、今年は48系、ももクロZの「国立&ドーム級(4~7万人)」に届くか、あるいはそのクラスほど世間的な知名度が上昇する可能性が高いだろう。理由としては、主に以下の3点が挙げられる。

私立恵比寿中学

 1点目は、『永遠に中学生』という持ち曲に象徴されているような、「個性を否定されない」というモラトリアム感的なコンセプトにオリジナリティがあること。これに倣い、メンバーの学年は例えば実際に高1なら「中4」、高2なら「中5」と表記される。群雄割拠するこのシーンで抜きん出るには、他とは違う「差別化」が絶対必要となるが、まずここがクリアできていることが大きい。

 2点目は、「差別化」にも通じるが、コンテンツのクオリティーが高いこと。楽曲制作にはたむらぱん、杉山勝彦、前山田健一、池田貴史、さつきがてんこもりなど、実力派&個性的な切れ味を持ったクリエーターを起用。さらにライブ演出についても試行錯誤を繰り返しながら独特の進化を続け、着実にファンの支持を獲得している。

 3点目に、ファン数が拡大し易い環境にあること。彼女たちが所属しているスターダスト芸能3部のジュニア部は「3B junior」と呼ばれているが、今年からアイドル専門枠としてリニューアルされている。平たくいうと、アップフロントにおけるハロー!プロジェクトのような、エイベックスにおけるiDOL Streetのような、アイドルとその新人育成のプロジェクトが明確に組織された、ということだ。ハロプロのアイドル全体を応援する「ハロプロ推し」のファンが多いように、ももクロZやエビ中を筆頭とした「3B推し」のファンが増えることは間違いない。それぞれのグループが獲得したファンが3B内で行き来しやすいことは、規模拡大に大きく貢献するだろう。

 今月初めに2名の新人が転入(加入)し、4月15日の武道館公演で3名のメンバーが転校(脱退)するなど、グループに転換期が訪れるエビ中だが、前述の3点の魅力があれば、そんなピンチといえる状況をきっと乗り越えてくれるはずだ。

徹底的にコンセプトに沿った「BABYMETAL」

 次に挙げたいのが「BABYMETAL」。Perfumeと同じアミューズ所属の小中学生限定グループ「さくら学院」の派生として誕生したユニットで、コンセプトは「メタルとアイドルの融合」。高1が1名と中2が2名の計3名で構成されている。昨年12月の幕張メッセの単独ライブには約8000人を動員、3月には武道館での2days公演が発表されている。

BABYMETAL

 BABYMETALの特徴は、楽曲、ライブ演出、Tシャツなどのグッズ、アーティスト写真の1枚に至るまで、徹底的にコンセプトに沿ったディレクションが行き届いており、それら全ての完成度が高いことだ。メタルファンが見ても納得できたり、思わず唸ってしまうようなギミックが細かいところまで仕掛けられている。

 また、ステージで少女が髪を振り乱しヘドバンするさまや、教会内の棺桶の中にメンバーが入っているゴシックなアー写などは、アイドルファンでなくても絶大なインパクトを与えることができる。さらにメタルといっても狭義のジャンル内だけに捉われず、X JAPANや聖飢魔IIなど、メジャーな邦楽アーティストへのオマージュを行なっている点も、一般層へと繋がりやすい要因となるだろう。

 BABYMETALもエビ中と同じく、「オリジナリティのあるコンセプトがあり、コンテンツのクオリティーが高い」というポイントが共通している。今年だけに捉われず、成長して"BABY"ではなくなる未来をも見据えた活動を期待したい。

演劇とライブの融合から、ラップ中高生、現代音楽まで

 世間的なブレイクはまだとしても、現状の規模から大きく拡大するだろうアイドルについても触れると、まず挙げたいのは"TPD"こと「東京パフォーマンスドール」。'90年代前半に活動し、篠原涼子、市井由理、穴井夕子らを輩出、武道館2daysや横浜アリーナ公演を成功させた、同名グループの新生版だ。

東京パフォーマンスドール

 現在、渋谷のキャパ約250人の劇場「CBGKシブゲキ!!」にて、演劇とライブを融合させた定期公演「PLAY×LIVE『1×0』」を行っている。企画・主催は、いきものがかり、藤木直人などが所属する大手芸能プロ・CUBE。「プロジェクション・マッピング」を駆使した映像演出など、大手だからこその豪華な内容が見どころ。先代からの名曲を受け継いでいるだけでなく、質の高い新曲が多い点も、アイドルとしてのポテンシャルの高さを感じさせる。

 だが仕掛けだけでなく、メンバーのダンスや演技など、パフォーマンスも発展途上ながら本格志向であることが、今後は強い武器となっていくはず。今年になるかは分からないが、シブゲキを出て他のアイドルたちと共演し始めた時が最初の勝負になるだろう。「TOKYO IDOL FESTIVAL 2014」が開催された場合に出演するかどうかが、大きな注目ポイントとなるだろう。

 タワレコのアイドル専門レーベル・T-Palette Records所属の中高生アイドルラップユニット「ライムベリー」も、他のアイドルとはっきりと差別化ができている。3MC+1DJというメンバー構成や、「MCは基本歌わずラップだけを行なう」という点も目を惹きやすい。プロデューサー・E TICKET PRODUCTIONによる'90年代のHIPHOPやテクノなどのカルチャーに多大な影響を受けたコンテンツ群は、マニアックになり過ぎず、一般層にも十分響くポップセンスを感じさせる。

ライムベリー

「ラップミュージック」自体はJ-POPの中でも既にジャンルとして成立しているのも、外部に強い要因となるだろう。さらにメンバーそれぞれの個性がはっきりしていること、グループから漂う「部活感」など、グループとしての長所は数多い。現在活動休止中だが、復活すればシーンを掻き回す存在になるに違いない。

「いずこねこ」は、グループアイドル全盛の中、シーンで健闘している稀有なソロアイドルだ。音楽性も独特で、ジョン・ケージやスティーブ・ライヒなど現代クラシックのいちジャンルである「現代音楽」にアイドルポップスを組み合わせた「現代音楽POP」なる新ジャンルを標榜している。

いずこねこ

 曲のコード進行は複雑で世界観は陰鬱だが、それに反し、ライブはアイドルらしい盛り上がりを見せるのが面白い。「にゃんにゃん」とステージで飛び跳ねる彼女はとてもキュート。関西在住だがグループと違いソロだと交通費が安価で済むため、日本各地でフットワーク軽くライブを行なえるのも、他と比べて有利な点だ。

 以上、2014年に活躍するだろうライブアイドルを紹介した。次回はジャンルを「グラビアアイドル」に絞り、ネクストブレイクを予想したい。(岡島紳士)
 
岡島紳士(ツイッター @ok_jm
1980年生まれ。アイドル専門ライター。著書、共著に『グループアイドル進化論』、『AKB48最強考察』、『アイドル10年史』など。雑誌への寄稿も随時。埼玉県主催「メディア/アイドルミュージアム」アドバイザー。au公式サイトでアイドルコラム担当。会期中に行われた、全9回の番組&イベントMCも担当した。DVDマガジン『NICE IDOL (FAN) MUST PURE!!!』制作。現在は新シリーズ『IDOL NEWSING』制作中。
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