コラム

乃木坂46のビー玉姉さん・衛藤美彩は振り返らない

2014年04月15日 07時00分

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 何者でもない女の子たちが戸惑いながらアイドルになっていく。それが乃木坂46の魅力のひとつである。しかし、「ビー玉みたいな丸い瞳がチャームポイント!」がキャッチフレーズの衛藤美彩は加入前に芸歴があって自己主張も強い。一般的なアイドルでは普通であっても、乃木坂46の中では異色な存在なのだ。
 

 
 2011年4月、衛藤美彩は女優や歌手を目指して、強い覚悟を持って上京した。そして、初めて受けたオーディションでミスマガジングランプリを獲得する(同年7月)。グラビアイドルになるつもりはなかったが、ミスマガジンの先輩である倉科カナや北乃きいのように、いつかは女優に転身しようと心の中で計画を立てて全力で仕事に取り組んだ。
 
 その直後、まわりからの薦めもあって受けた乃木坂46のオーディションにも合格する。彼女は迷いながらも「歌とダンスのスキルを上げたい」という思いで乃木坂46に加入。しかし、劇場が作られることもなく、選抜にもなかなか入れなかったため、悩むことも多かった。同じ年齢の白石麻衣、橋本奈々未、松村沙友理が福神常連メンバーなだけに、より悔しかったことだろう。
 
 とくに3rdシングル『走れ!Bicycle』のお披露目の時は舞台裏で涙を流していたという。選抜メンバーを隠していた幕を下げる役を務めたからだ。横を見たら選抜メンバーはキラキラしているのに、自分は顔を見えないように捌けていく。「こんなことをするために上京したんじゃないのに……」と思ったこともあったという。そんな時に支えてくれたのは握手会でのファンの声だった。衛藤はしだいに鋼の心を身につけるようになっていった。
 
 7thシングル『バレッタ』で念願の選抜入り。「選ばれたのはチャンスの順番がまわってきただけ。『爪痕を残さなきゃ』と力むより、とにかく楽しもうと思ってます」と語っていたが、ボーカル力の高さでカップリング曲(『私のために誰かのために』)のユニットに入り、「握手人気」という数字が出る形でも結果を残した。
 
 しかし、8thシングル『気づいたら片想い』では選抜に残ることはできなかった。乃木坂46の『ミュージックステーション』出演が発表になった日には、アンダーメンバーのために出演できない悔しさを露わにするモバメをファンに送った。
 
 それでも衛藤美彩はミスマガジンの栄光を投げ打ったことを後悔していない。なぜなら、乃木坂46に入ったことでメンバーとスタッフ、そして、大切なファンに会えたから。ひとりじゃないから。
 
 そして、彼女にとって好きな季節がやってくる。『16人のプリンシパルtrois』が5月30日からはじまるのだ。『16人のプリンシパル』は、第一幕で披露された演技や自己アピールを観客がジャッジして、第二幕の演者を決める乃木坂46の本場所。衛藤は、努力をすれば結果が出るところが好きなのだという。実際、昨年行なわれた『16人のプリンシパルdeux』での第二幕出演率は選抜常連メンバー並みの高さがあり、今年の活躍も期待していいだろう。
 
 2月22日に行われた横浜アリーナのライブではMCも務めた。聞こえやすくコンパクトにまとめる仕切りは、キャプテン桜井玲香頼りだった乃木坂のMCに新しい風を吹かせた。2期生が選抜に入り、松井玲奈(SKE48)の兼任もはじまる乃木坂46だが、まだまだ衛藤美彩にはやらなければならないことがある、できることがある。だから、衛藤美彩は振り向かない。
 
 
大貫真之介 アイドルとお笑いを中心に執筆。乃木坂46写真集『乃木坂派』、『EX大衆』、『TopYell』、『日経エンタテインメント』、『an an』アイドル特集号、などで乃木坂46のインタビュー記事を担当した。

 
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タグ: 乃木坂46