コラム

乃木坂46のりんご姫・松村沙友理は、子供と大人の狭間を浮遊する

2014年04月22日 07時30分

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 屈託のない笑顔で「宇宙で一番かわいい」と手前味噌な発言をする姿がキュートな、乃木坂46の太陽・松村沙友理。明るいキャラクターでありながら、時折見せるナイーブな一面も魅力的な彼女が、転機を迎えようとしている。
 

 
 4月11日、『ミュージックステーション』に念願の初出演を果たした乃木坂46。タモリにとって『笑っていいとも!』グランドフィナーレ以来の生放送とあって、『いいとも!』終了後の生活に「慣れないねぇ」、「今週から違和感が出はじめました」というコメントを出した。この日の『Mステ』はタモリフリークにとっても観逃せない回だったのだ。

 SMAPや、きゃりーぱみゅぱみゅといった人気アーティストに続いて、いよいよ乃木坂46が登場。ここでトークをしたのは、センターの西野七瀬でもAKB48兼任の生駒里奈でもバラエティ番組に強い高山一実でもなく、松村沙友理だった。

 食事制限に苦労したエピソードとして「(普段は)ご飯だったら山盛りで9杯くらい食べられるんです」と、冠番組『乃木坂、ってどこ?』で披露(実食)した大食いネタを、顔を紅潮させながら少し早口に話し、「仏様にお供えするものの2倍」程度しかご飯を食べないタモリを唖然とさせたのだ。

 他にも、乃木坂46が記者会見に登場する時は、松村の発言が使われることが多い。本人は以前のインタビューでも「乃木坂46はおとなしくて自分から発言しない子が多いけど、松村は前へ前へ出ちゃうんですよ。誰もしゃべりたがらない時は自分から話して、みんなが話す時は一歩引いてます」と話しており、実はしっかりと空気を読んで意識的に使われる発言をしているのだ。

 乃木坂46が他のアイドルと違うところについて聞いた時も、松村は「普通のアイドルさんはアップやリップシンクのシーンが多くて、みんなかわいいという感じだけど、乃木坂は引きが多くて奥深さを追い求めてるんです」と回答。キャラクターからは想像できない冷静に分析力には舌を巻いた。

 無邪気な笑顔の裏ですべてを計算して行動している人なのでは……と思いきや、「13歳のりんご姫」らしく子供のように感情を露わにすることがある。取材で半年前の『16人のプリンシパル』について聞いた時は不甲斐なかった自分を思い出して涙を流し、憧れの声優さんと対談した時は喜びのあまり泣いてしまう。

 松村沙友理は子供なのか大人なのか。答えを求めようとしても、彼女はただニコニコ笑うだけだろう。僕たちは虚実の皮膜に翻弄されることを楽しむしかないようだ。

 そんな彼女にも転機が訪れようとしている。発売中のシングル『気づいたら片想い』では、ポジション制度が八福神から五福神に変更したことにともなって福神から外れ、フロントから2列目になった。松村は「私自身も、その位置に甘んじて努力を怠っていたのかもしれません」とブログに綴った。しかし、続けて「まだまだ終わりじゃない」と書いていたように、松村の進撃はここからはじまるのかもしれない。

 そもそも、アイドル松村沙友理が誕生したきっかけは挫折だった。松村は大学受験に失敗して浪人生だった時に乃木坂46のオーディションに応募しており、「どこかで自分を変えてみたいという気持ちがあったのかも」と話している。

 前述したように、松村は『16人のプリンシパル』でトラウマを抱え、演技に苦手意識を持っていた時期もあった。しかし、発売中のシングル『気づいたら片想い』の特典映像『乃木坂の4人』のエチュードでは、一気に役に入り込んで観ている者が息を飲むような演技を見せてくれた。意外な才能が開花しようとしているのだ。

 松村なら「さゆりんごパンチ」で現状を突破して、新たなステージに駆け上がってくれるはずだ。
 
 
大貫真之介 アイドルとお笑いを中心に執筆。乃木坂46写真集『乃木坂派』、『EX大衆』、『TopYell』、『日経エンタテインメント』、『an an』アイドル特集号、などで乃木坂46のインタビュー記事を担当した。
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タグ: 乃木坂46