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モーニング娘。'14のNY公演を米国はどう報じているか

2014年05月08日 07時00分

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 5月5日の中野サンプラザ公演にて、10月5日にニューヨークで単独コンサートを開催すると発表したモーニング娘。'14。このニュースが米国ではどのように伝えられているのかを検証してみた。

 ニューヨークに本拠を置く「NIHONGOGO」(http://nihongogo.com/)は、日本のエンターテイメント情報を広く扱うサイト。こちらの記事では、「モーニング娘。'14の女の子たちは海を渡り、きらびやかなニューヨークはブロードウェイの照明を目にすることになる」との書き出しで、ニューヨーク公演の記事を掲載している。

 この記事では、「この単独コンサートは彼女たちにとって初のニューヨーク訪問となり、2009年のロサンゼルス・アニメエキスポ以来、米国本土への初上陸となる」と解説。つまり、2012年にハワイでファンツアーが行なわれていることを前提に、本土には2009年以来だとわざわざ強調しているのである。

 米国にはハワイとアラスカを除いた48州を一体化して捉える見方があり、大陸側という意味で「Continental United States」と呼んだり、地続きという観点から「Contiguous United States」、もしくは「Contiguous 48 States」などと呼んでいる。逆にいえば大陸側に住んでいる多くの米国人ファンにとっては、ハワイ止まりではなく米国本土まで来てくれることが嬉しいというわけだ。
 

「NIHONGOGO」(http://nihongogo.com/)

 ニューヨークにオフィスを構える「Anime News Network (ANN)」(http://www.animenewsnetwork.com/)では、「今回のNY公演は、モーニング娘。'14の名前になってからは初の海外公演となる」と説明。また、前述のロサンゼルス公演を念頭に、「同グループは約4年にわたって海外公演を行なっていなかった」とも紹介している。NIHONGOGOとは異なり、ハワイはあくまでファンツアーであり、公演ではないというスタンスだ。

 同サイトの英文で興味深いのは、道重さゆみのコメントの英訳。道重がファンに「いろんな意味で『余裕のある方』は来てください」と語りかけたのを、以下のように訳している。

 “Everyone... If you have leeway in a lot of different ways, please come.”

 この"leeway"とは大ざっぱに言うと"余裕"を意味し、文脈によって時間的な余裕や行動面での余裕、もしくは金銭面の余裕など示す対象が変化する。日本人にはあまり馴染みのない単語だが、道重が語ったコメントを巧みに意訳していると感心してしまう。

 もうひとつ、らしい英語表現はメンバー紹介だ。「The group's current roster includes leader Sayumi Michishige...」(グループの現在の陣容はリーダー道重さゆみ……)と、"ロースター”という単語を使っている。アメリカンスポーツ好きの方なら、チームの選手登録リストをロースターと呼び、登録されることを「ロースター入りする」と表現することをご存じだろう。

 これがロックバンドなどであれば、ロースターという表現は使われないはずだ。この記事の筆者はおそらく、日本のアイドルグループではメンバーの入れ替わりが日常茶飯事であることや、スポーツチームを応援するような感覚で”箱推し”するといったアイドル文化をよく理解しているものと推察される。
 

「Anime News Network (ANN)」(http://www.animenewsnetwork.com/)

 オタクの友というキャッチフレーズを付けた「JAPANATOR」(http://www.japanator.com/)では、書き出しでいきなり「アイドル、日本では音楽分野でも市場としても大きな文化だが、海外ではありえないほどにニッチ」との前置きが目立つ。いっぽうでモーニング娘。'14については「日本ではお茶の間でも知られた存在」(a household name in Japan)と、その普遍的な人気も併せて紹介している。

 この記事で面白いのは、所属事務所のアップフロントプロモーションについても触れている点だ。その内容は「同事務所はここ数年、所属グループをフランスやアジア諸国には送り出しているものの、米国に送り出すことには躊躇していたようだ」というもの。米国ファンのモー娘。'14への渇望感を暗喩しているのだろうか。

 さらにこの後に、「新生モーニング娘。'14なら、同事務所も旗艦グループを今一度海外に送り出せる自信を持てるようだ」とし、事務所を引き合いに出しつつ、モーニング娘。'14が大きくV字回復していることを巧みに説明している。また、旗艦(フラッグシップ)という表現を使っているのもユニークだろう。

 そして同サイトでは、「2009年の訪米以来、道重さゆみ以外すべてのメンバーが入れ替わっている」と説明。小田さくらを除く10期まではハワイ経験こそあるものの、ほとんどのメンバーにとって米国本土訪問が初めてであることを強調している。
 

「JAPANATOR」(http://www.japanator.com/)

 最後に、ニューヨーク公演の会場となるベストバイシアターを紹介したい。観光名所としても有名なタイムズスクウェアの一角にある同シアターは、2010年まではノキアシアターの名前で知られていた施設。命名権を獲得したベストバイは、全米に1400店もの店舗網をもつ、米国最大の家電量販店チェーンだ。

 シアターの規模は着席時で最大1166席、オールスタンディングでは約2100人を収容できる。縦長の客席は前方、中央、後方と3層になっているものの、明確に階として分かれているわけではなく、イメージとしては中野サンプラザに近いかもしれない。ちなみに外観からはそのサイズ感がわかりにくいが、シアター自体は地下にある。
 

ベストバイシアターの外観(同シアター公式サイトより)。シアター前の道路に列を作る仕組みだ

 ステージのサイズは間口40フィート(12m)×奥行き28フィート(8.4m)で、TSUTAYA O-EAST(間口12.8m×奥行き8.4m)とほぼ同サイズ。中野サンプラザより若干小さいが、ライブパフォーマンスを行なうには不足のない広さだろう。余談だが、米国で公演を行なうときはセットの設営などにも現地のスタッフを使う必要があり、日本国内のライブと同様のセットを組むのは非常に困難である。

 同シアターは様々なイベントにも対応した多目的ホールでもあり、大手企業が新製品の発表会を催したり、最優秀大学フットボール選手を表彰するハイズマン賞の会場として全米テレビ中継の舞台になることでも知られている。記者も某発表会で中に入ったことがあるが、ホール手前のロビーがかなり広いことや、ホールの天井からホテルの宴会場にありそうな大型の照明が吊り下がっていることが印象的だった。

 その立地も併せてベストバイシアターは格式の高い会場でもあり、会場の外壁に備え付けられた横幅26mに及ぶLEDスクリーンには、その日に出演するアーティストの情報も流される。つまり、ブロードウェイに「Morning Musume. '14」の文字が躍るというわけだ。そんな会場で単独コンサートを開催することは、モーニング娘。'14にとってこの上ない貴重な経験になることは間違いないだろう。
 

ステージの様子。O-EASTとほぼ同サイズという雰囲気がわかるだろうか

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