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UPDATE|2014/06/04

AKB48の握手会襲撃事件が芸能界全体におよぼす影響

5月25日に行なわれたAKB48の握手会で川栄李奈と入山杏奈が切りつけられた事件が、大きな波紋を広げている。

 事件を受けて休館していたAKB48劇場は6月2日に劇場公演を再開したものの、公演後のハイタッチ会は行なわれず、劇場にゲート式金属探知機を設置したり、警備員の数を増やしたり、客席の1列目を空けたりなど警備体制が強化された。

 あれだけの事件が起こったのだから、警備体制の強化は当然必要だろう。とはいえ、一部から出ている握手会に対する厳しい声には疑問を持たざるを得ない。

 


 AKB48グループで有名になった握手会だが、「握手会」という呼び方はしていなくとも、似たような催しは芸能界では古くから行なわれてきた。

 CDの即売会しかり、著書の発売記念イベントしかり、サイン会しかり、ファンミーティングしかり。歌手やタレント、俳優、アイドル、お笑い芸人などがCDを手売りする際やサインした著書を手渡しする際、集まったファンと握手を交わすのは今や恒例行事となっている。

 近年では芸能人に限らず、プロスポーツ選手や小説家なども同種のイベントを行なっている。

 しかも、そうしたイベントの多くは何百人というファンが集まるものでも、マネジャーや数人のスタッフが現場にいるのみで、手荷物検査はおろか、警備員すらいない状況で行なわれているのが現状だ。

 また、最近では映画の試写会などでも、舞台挨拶を終えた俳優や女優が集まった観客に混じって記念撮影を行なうケースも多い。この種のイベントは、ファンとの信頼関係があって初めて成り立っているのだ。

 あまりに握手会へのバッシングや自粛ムードが広がると、結果的にはあらゆる芸能関連のイベントが警備面の問題で、開催不可能になってしまうおそれがある。今回の事件は、けっして握手会だけの問題ではない。

 被害に遭った川栄、入山、男性スタッフはもちろんのこと、芸能人がイベントを開催するうえで必要不可欠だった"ファンとの信頼関係"を傷つけられたという意味では、芸能界全体が受けたダメージも限りなく大きい。

 3人の心身両面の回復を祈ると同時に、芸能人とファンとのコミュニケーションの場が完全に復活することを願うばかりだ。

 
三杉武 全国紙の記者を経てフリーに転身。芸能評論家として各メディア媒体で芸能事象の解説を手掛けている。アニメ、TRPG、プロレスなどにも造詣が深い。『AKB48総選挙 公式ガイドブック』では3年連続で論客を務めている。

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