コラム

ハロプロの6・7 研修生ライブで示した実力と明るい未来

2014年06月14日 08時00分

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「技術のハロー!プロジェクト」

 そう言われ始めたのは、いつの頃からだろう? 少なくても『LOVEマシーン』やミニモニ。で日本中が熱狂していた当時は、ファンもメンバーの歌唱力やダンス技術についてさほど議題にしていなかったはず。ところがハロプロは、徐々にスキル主義へと先鋭化していった。ハロプロが他のアイドルと違うとされるのは、この部分が非常に大きい。

 パフォーマンス至上主義とは、しっかりとした教育カリキュラムがあってこそ成立する。幼少期から歌とダンスのエリート教育を施され、厳しい競争原理の中で少女たちは才能に磨きをかけていく。

 歴史をさかのぼると、ハロプロでは2002年に研修機関「ハロー!プロジェクト・キッズ」が立ち上げられ、メンバー15名は後にBerryz工房や℃-uteの一員としてデビュー。2004年には「ハロプロエッグ」が発足し、2011年に「ハロプロ研修生」と改称された。

 エッグや研修生の卒業生は多岐に渡っており、THE ポッシボー、真野恵里菜、吉川友、アップアップガールズ(仮)(アプガに関しては、正確にはクビだが……)、Juice=Juice、和田彩花・福田花音・竹内朱莉・勝田里奈(ともにスマイレージ)、譜久村聖・工藤遥・小田さくら(ともにモーニング娘。'14)などなど。他事務所で活動しているメンバーも含めると枚挙にいとまがない。

 近年は歌やダンスやMCの厳しいレッスンの他に、外国語で歌って発音をチェックするなどグローバル化の波にも対応している。ジャニーズJr.をはじめとして、日本には他にも多くのアイドル教育機関があるが、ハロプロ研修生が「アイドル虎の穴」とも呼ばれるのも大いに頷ける話である。

 前置きが長くなった。要は何を言いたいかというと、今のハロプロ研修生は異常にレベルが高いということだ。デビュー前の研修期間にもかかわらず、目の肥えたアイドルファンから熱い注目を集めているのには、それなりの理由があるのである。

 そんな彼女たちが、普段のレッスンの成果を見せるのが「生タマゴShow!」と呼ばれる定例発表会。ディファ有明で行われた6月7日の東京公演(昼)でも、メジャーデビューしているそこらのアイドルを軽く凌駕する実力を、まざまざと見せつけた。

 生タマゴShow!は基本的にハロプロ楽曲のカバーを中心に構成されるが、この日、オープニングで披露されたのはハロプロ研修生としてのオリジナル新曲『Crying』。志半ばで研修生を離脱した少女のことを歌詞にした、あまりにも切ない青春歌謡だ。

 その後も選抜メンバーが入れ替わり立ち代わり、モーニング娘。やスマイレージの楽曲を元気いっぱいに歌いこなしていく。常に全力投球。徹底して前のめりの姿勢には、一種の爽快感すら覚える。

 実は今回の公演、℃-uteツアーの帯同で浜浦彩乃・室田瑞希・牧野真莉愛・山岸理子・藤井梨央が欠席。また、ミュージカル『LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-』出演のために田辺奈菜美・加賀楓・佐々木莉佳子が不参加だった。この8人は、いずれも研修生の中で中心的な存在。つまり、飛車角落ちともいえる陣容で臨んだ発表会だったのだ。

 だが、これは後輩研修生にとっては下剋上のチャンス。ここで存在感を見せつけることで、一気にトップ戦線へ躍り出る……! ギラギラ殺気立った視線からは、確固たる意志が感じ取れた。

 Juice=Juiceのパフォーマンスが終わると、ソロコーナーに。この日の公演でマイクを持ったのは、田口夏実と段原瑠々だった。2人は5月に行われた「ハロプロ研修生 発表会2014 ~春の公開実力診断テスト~」で、それぞれ審査員特別賞ダンス部門とベストパフォーマンス賞を受賞している。

 はにかむような表情が印象的な田口は、情感たっぷりに『100回のKISS』(松浦亜弥)を披露。短期間で爆発的に向上した歌唱力に、観客は戸惑いすら覚えているようだ。持ち前の高いアイドル性にも、ますます磨きがかかった印象である。

 一方の段原は『Memory 青春の光』(モーニング娘。)を激唱。すさまじい説得力だ。この13歳の少女は、いったい今までどれほどつらい恋を重ねてきたのだろう? あまりにも深く歌詞の世界観に入り込んでいるため、思わずそう感じずにはいられないほどだ。ハロプロに興味がない人も、その名前だけは覚えておいたほうがいい。5年後、段原瑠々の名前は日本の芸能界のど真ん中に位置していることだろう。

 全員で『おへその国からこんにちは』を歌うと、新人3人(斎藤夏奈、竹村未羽、相川茉穂)がマイクなしのダンスパフォーマンスを披露。その後はJuice=Juiceのメンバーも混じって、ハロプロ代表曲を矢継ぎ早にパフォーマンス。最後は『天まで登れ!』でフィナーレを迎えた。

 それにしても、とんでもないタレントの宝庫である。

 クルクル変わる表情でキラキラ感を演出する岸本ゆめの、卓越したダンス技術が光る稲場愛香、アイドルセンスの塊・船木結、ダイナミックなダンスで存在感を示した山木梨沙……名前を挙げていったらキリがないが、ここに欠席した8人も加わることを考えると、ハロプロには明るい未来しかないと断言していい。

 観客数だけ見れば、もちろん同日に行われた味の素スタジアムのAKB総選挙に遠く及ばない。だが、少女たちが見る夢の大きさは決して引けを取らないはずだ。

 確かな技術力。そしてギラギラした野心。研修生たちの一挙手一投足から、ますます目が離せそうにない。

 
小野田衛 1974年、神奈川県生まれ。出版社勤務を経て、現在はフリーの編集・ライターに。『月刊ENTAME』では主にハロプロとプロレスの記事を手がける。著書に『韓流エンタメ日本侵攻戦略』(扶桑社新書)。
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