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UPDATE|2014/06/23

初期モーニング娘。に見る「アイドルの物語消費」とは

「モーニング娘。」とは、物語である。そして、その物語の始まりは夢に敗れた五人の少女たちの集結であった。

 モー ニング娘。誕生のきっかけは、テレビ東京『ASAYAN』である。全国各地から集まった9900人の応募者から選ばれた最終候補者の中に、のちのモーニング娘。となる5人がいた。予選審査、本選と毎週テレビで放送することで、いつしか視聴者を巻き込み、多くの注目を集めたオーディションは、ひとりの優勝者が選ばれることで幕を閉じた。

 しかし、番組はそれぞれの地元に帰っていった5人を再び東京に呼び戻し、「CDを5日間で5万枚、手売りで完売させる」等の苦難を乗り越えることを条件にメ ジャーデビューを約束した。「夢のために過酷な試練を与えられた少女たち」のドキュメンタリーが、新たに始まったのだ。

 真剣な少女たちの眼差しとは裏腹に、ユニット名の決定をはじめ、物語の進行はいたって軽快でポップであり、その対比はとても鮮やかなものだった。運命に翻弄される少女たちの姿に、視聴者は「自分たちが応援してあげなければ」と感情移入したのである。

 そして初めてのレコーディングやジャケット撮影…夢に向かってもがく少女に、いつしか人々は自分を重ね合わせ、CDを手にとった。「メ ジャーデビュー」というモーニング娘。の目標が、いつしか視聴者の目標に変わった。共通の目標を抱いた視聴者たちは、モーニング娘。を応援することで少女たちに自らの夢を体現させたのだ。

 そんなモーニング娘。は、5万枚のCDを完売させ、メジャーデビューが決定した。 オーディション落選という「危機」を「努力」で乗り越え、「勝利」を手にしたのだ。

 しかし、番組の密着はここでは終わらない。今度は、この間まで素人であった少女たちがメジャーデビューの準備に奔走し、「成長」していく姿が、毎週放送され た。ほんの半年前までは一視聴者だった少女たちが、日本中の応援を受け、芸能界でデビューする。一連のドキュメンタリーを追っている視聴者たちに奇妙な連帯感が生まれ、モーニング娘。の人気は瞬く間に上昇した。そしてメンバーの加入や卒業、グループとしての挫折と挑戦など、更なる物語の付加によってモーニング娘。の価値 は高まり、国民的アイドルへと成長したのだ。

 と、真面目に書いてみたりしましたが、次回はその物語の最初の主人公たりえる「安倍なつみ」さんへの愛を綴ってゆきたいと思います♪

 よろしくうさちゃんピース♡
 

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