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UPDATE|2014/08/12

乃木坂46「真夏の全国ツアー2014」展望 アンダーライブの4ヵ月間が何であったかを証明できるのか

乃木坂46の全国ツアーがいよいよ8月16日の大阪市中央体育館からスタート。8月30日の明治神宮野球場まで、福岡・仙台・名古屋の大規模会場で行われるライブに今から期待が高まっている。灼熱の夏、乃木坂メンバーたちは何を見せてくれるのか。具体的な構成や演出はわからないが、個人的には選抜とアンダーの関係性に注目していきたい。

 


 これまで行なわれた乃木坂46の大規模ライブに比べて、もっとも変わったところはアンダーメンバーの充実ぶりだろう。4月から7月に行なわれた8thと9thシングルのアンダーライブは「彼女たちは選抜に入れなかったんじゃない。ライブ選抜なんだ」と思わせるほどにメンバーたちを成長させた。

 8月3日に『乃木坂って、どこ?』で発表された10thシングルの選抜にアンダーから入ったのは、1期生で唯一選抜経験がなかった斎藤ちはるのみ。この状況に、多くのアンダーメンバーはブログで悲壮感を露わにしたブログを投稿した。アンダーの活動をちゃんと見てくれていたのか、不安な気持ちを感じてしまうことはしかたない。しかし、最後には今秋の10thアンダーライブや全国ツアーに対して前向きな言葉を綴っているのは救いだった。

 アンダーメンバーたちは、「アンダーライブの4ヵ月間が何であったかを証明する」ためにも全国ツアーのステージで熱いパフォーマンスを見せてくれるはず。実際、中元日芽香は「これだけライブをさせてもらって、選抜に負けているのもダメかなって。まわりからも『この数ヶ月はなんだったの?』と思われちゃう」とインタビューで発言している。ライブを通して自分をより解放できるようになった彼女の活躍は、全国ツアーにおけるひとつの鍵になってくるだろう。

 アンダーのセンターを務めた伊藤万理華は、観る者が思わず視線を注いでしまう求心力のある表現でその責任をしっかり果たした。「背中をポンって押してもらえないと前に行けない」という万理華が、センターに選ばれたことで華を咲かせたのだ。この求心力は乃木坂全体のライブに入っても発揮されるに違いない。

 選抜に入ることが難しいのなら、アンダーメンバー全体がひとつの活動体として大きくなっていくのもひとつの手かもしれない。このツアーでそのムーブメントを認めさせることは第一歩になるのではないだろうか。

 一方の選抜メンバーにとっても今回のツアーに縣ける思いは強いはず。8th、9thのセンターを務めた西野七瀬だが、2月の横浜アリーナでは8thシングル曲を披露しておらず、このツアーが晴れ舞台になってくるだろう。乃木坂46の歴史と重なるように、パフォーマンスもメンタルも成長してきた西野。10thシングルの選抜発表でセンターを外れた時に見せた笑顔は決して諦観ではない。2回連続でセンターとして自分ができることはやりきったという自信の表れだったはずだ。

 また、兼任メンバーとしてAKB48チームBの公演に参加している生駒理奈は表現の幅を広げていることだろう。秋元真夏は、ライブを重ねているアンダーメンバーに対して危機感を募らせているうちのひとり。「アンダーメンバーに追いつかなければ」という気持ちを強めている。「素直の天才」秋元真夏の伸びしろに期待しつつ、走る場面で「コケる」かどうかにも注目したい。

 個人的に注目の曲は『孤独兄弟』と『ロマンスのスタート』(実際に披露されるかはわからないが……)。

『孤独兄弟』は白石麻衣と橋本奈々未によるユニット曲だが、披露する機会がまだ少ないうちに、アンダーライブで伊藤万理華と伊藤寧々が何度も歌っているのだ。乃木坂46結成当初からの友情ストーリーも付随して、ライブではひとつの見せ場になっていた。

 中田花奈と川村真洋によるキレキレバージョンの『孤独兄弟』も観る者に強烈なインパクトを残している。とはいえ、ライブへの渇望感が強い白石麻衣とアンダーライブを観て感じることもあっただろう橋本奈々未ならオーラ全開のパフォーマンスを見せてくれるはずだ。

『ロマンスのスタート』は、『16人のプリンシパル』で第二幕終了後に『気づいたら片想い』とともに歌われた曲だが、6月7日の夜公演で生駒里奈の選抜総選挙14位という結果を受けてのパフォーマンスは祝祭的空間を生み出した。また、7月26日夜の9thアンダーライブ千秋楽で、Wアンコールを受けたメンバーたちが喜びと戸惑いの中で歌ったのも『ロマンスのスタート』だった。曲は生き物。2カ月の間で新たな命が吹き込まれた『ロマンスのスタート』が、セットリストのどこで披露されるのかが気になるところ。

 10th選抜メンバーの発表時にメンバーから「停滞」という言葉が出た。しかし、アンダーライブという新しい文化が乃木坂46全体のライブで化学反応を起こすことで、全国ツアーでは電流が走るような刺激的なステージが生まれることだろう。


 
大貫真之介 アイドルとお笑いを中心に執筆。乃木坂46写真集『乃木坂派』、『EX大衆』、『TopYell』、『日経エンタテインメント』、『an an』アイドル特集号、などで乃木坂46のインタビュー記事を担当した。    

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