FOLLOW US

UPDATE|2014/09/02

AKB48・小嶋陽菜の天才的「なぜか、許される」才能

「知らない間にタイトルが決まってた。こんなんじゃ(卒業)発表しませ~ん!」

 先日行われた東京ドームコンサートで、〝卒業発表の大本命〟と目されていた小嶋陽菜は叫んだ。さらに「今度こそ!」と噂されたオールナイトニッポンでも卒業発表はなし。曰く「卒業か?といわれるとそこじゃない違うところで(発表)したいって思っちゃう」とのこと。

 この、総選挙から始まる〝卒業するする詐欺〟とでもいうべき一連の流れすら、エンターテインメントにしてしまうのが小嶋のすごくもあり、非常に〝らしい〟ところだ。

 普通、もっと深刻な空気になってしまいそうなものだが、批判も非難も出ず、ひと笑い起こるだけでことが済んでしまう。

 計算高いというわけではない。「このタイミングで何を言ったら一番いいのか」という正解がわかっている。おそらく、48グループで小嶋ほど自分を客観視できている人間はいないのではないか。

 


 小嶋陽菜は2005年、AKB48オープニングメンバーオーディションに合格。当初から、第3回じゃんけん大会で敗れるまで、28回連続で選抜入りをした。愛らしいルックスと、自称・マシュマロボディを武器に『MAQUIA』などのモデルとしても活躍。お茶の間知名度は48グループの中でも1、2を争う、名実ともに〝AKBの顔〟である。

 長くAKBとして活動し、激動の中にあっても、とにかく当初から立ち位置が変わらない。マイペースで、よくも悪くも〝ブレない〟人だ。

 そんな、ふわふわおっとりしていて、いわゆる〝ビジュアルメン〟としての印象が強い小嶋だが、彼女の真骨頂はルックスだけではない。特に、タレントとして不可欠な〝コメント力〟は特筆すべきであり、他のメンバーとは一線を画す点だ。そのイメージとは裏腹に、とにかく秀逸なコメントを連発する。

 これについて、最もなじみ深いのは、『有吉AKB共和国』などに代表されるバラエティでのコメントだが、何といっても本領を発揮するのはインタビュー。キャッチ—かつセンス溢れる言葉を並べるだけでなく、わかりやすく、客観的な分析を加えつつ話す小嶋は、もはや知的ですらある。

 例えば、総選挙についてのインタビューで、若手に対して「もっと、テレビや7万人のファンの方が見てくれている、っていう意識を持ったほうがいいと思うんですよ。もちろん、慣れやセンスは必要だろうけど」とコメント。

 自身が「昔から周りは見えてるんですよ。全体をこう空から見る感じ。この流れはきっとこうなるだろうとか、人の考えてる事も、聞かなくてもすぐ分かる」という通り、非常に冷静で的確だ。

 これだけ書くと、おっとりとした印象と裏腹に『したたかだな』と、思うかもしれない。しかし、そうではないのだ。嫌味にならず、ときには笑いすら誘う。その〝人徳〟が、小嶋を小嶋たらしめている。そんな〝人徳〟が垣間見えるエピソードとして、総選挙直前の風物詩である、「ツイッターなどで不安や弱音を連投し、票数を伸ばす(?)」という小嶋ならではの伝統芸がある。他のメンバーなら批判されそうなものだが、これまたひと笑いで済むのが小嶋なのだ。

 秋元康氏をして「あの子は天才」と言わしめた小嶋陽菜。目標は「芸能界にずっといること」。近い将来、卒業発表があったとしても、彼女には何の心配もいらないだろう。


 
佐藤 朋樹:都内在住のフリーライター/編集。アイドルのみならず、節操なくなんでも執筆

RECOMMENDED おすすめの記事

RELATED 関連する記事