ライブレポ

虹のコンキスタドールが初ワンマンで見せた遥かなる未来

2014年09月10日 07時00分

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 TIF2014でお披露目された10人組アイドルグループの「虹のコンキスタドール」(虹コン)が9月7日、東京・秋葉原のAKIBAカルチャーズ劇場にて初の単独公演「中二病でもアイドルがしたい!」を開催した。

 グループ名の「虹」は「二次」との掛け言葉。これは虹コンが、イラスト投稿SNSサイトのpixivを母体に誕生したグループだからだ。二次元愛好家なら知らない者がいないほど巨大なプレゼンスを持つpixivだが、アイドル分野ではあくまで畑違いの存在。文化祭がテーマのグループと言われても、ピンと来ないかもしれない。

 だが、虹コンを支えるスタッフ陣の顔ぶれを見れば、pixivがアイドル進出に掛ける本気度が伝わってくる。サウンドプロデュースはでんぱ組.incを仕掛けたもふくちゃんこと福嶋麻衣子が務め、振付師にはいまや説明不要の竹中夏海を起用。衣装デザインはミスiDの選考委員でアイドルライブにも足繁く通うイラストレーターの岸田メルが担当し、オリジナル曲を提供するのはヒャダイン(前山田健一)という、超強力な布陣である。

 そして肝心のメンバーたちはオーディションを経て選ばれた13歳から18歳の10人。彼女たちはコスプレチーム、イラストチーム、声優チームという3チームに分かれ、アイドル活動と並行してクリエーターとしての活動も行なっていく。彼女たち自身がもともとpixivの利用者だったこともあり、他のアイドルとは醸し出す雰囲気が少々異なっている感じも見受けられる。
 

イラストチームの根本凪が描いたイラストでデビューまでを振り返るコーナー。さすがpixiv系だけあってちょっと絵が上手いというレベルを超えるイラストだった

 公演の冒頭では、メンバーのオーディションやレッスンの風景を紹介しつつ、各メンバーの素顔に迫る映像を実に15分間かけて上映。デビューしたてのグループながら、メンバーそれぞれの個性がなんとなく見えてくる仕掛けになっていた。

 そして1曲目は、TIF2014でも披露したオリジナル曲の『女の子むてき宣言!』。寸劇風のダンスは観る者を楽しませるものの、動きはまだぎこちなく、テンポが途中で大きく変わるヒャダイン流の楽曲構成にはまだ戸惑いを感じる様子も垣間見える。虹コンは生歌にこだわっているようで、マイクの扱いに慣れ切っていないためか声が途切れて聞こえる場面も見られた。

 だが、そういった未熟さをすべてひっくるめたうえで、虹コンのステージからはなぜか、可能性が感じられたのである。
 

寸劇風のフォーメーションにはPASSPO☆やでんぱ組.incの匂いを感じる向きもあるだろうが、ぎこちなさのなかにひたむきさを感じさせた

 2曲目の『ぴくしぶおんど』以降は、ほとんどがカバー曲の構成。乃木坂46の『制服のマネキン』では初々しさを感じさせ、メンバー3人で歌うMilkyWayの『タンタンターン!』では星形のタンバリンに反応するファンもいたが、当の本人たちはなぜ星形なのかもよくわかっていないかもしれない。

 そして5曲目ではストリート風の衣装に着替え、まさかの『今夜はブギーバック』を披露。メンバー全員がまだ生まれていない1994年リリースの曲で、後述のインタビューにもある通り、歌唱メンバーはこの曲を渡されるまでまったく聴いたことがなかったという。

 だが、おそらくはこの初単独公演に向け、メンバーたちは途方もない練習を重ねてきたのだろう。オリジナル曲を知る者でもサビ直前の小節でぴったりラップをまとめるのが難しいはずなのに、まるで大人の背広を着せられたような雰囲気さえ漂わせる少女たちはきっちりと、正確なカウントでサビを歌い始めたのだ。
 

おそらくスチャダラパーを知らないであろう21世紀チルドレンたち。TIFのバックステージで、ミスiD候補者たちが誰もBoseに関心を示さない光景を思いだした

 この懐メロで大きなお兄さんたちの心をガッチリとつかんだ虹コン。ここからはアニメ曲が並ぶ展開ながら、観客席は違和感を感じることなく、メンバーたちのパフォーマンスに魅入られていく。セットリストの巧みさを別にしても、デビュー1ヵ月の彼女たちにしては上出来のステージだ。

 そして本編のラストでは、2曲目のオリジナル曲となる『電撃タクティクス』を初披露。ダークな曲調のイントロが流れるなか、それまでとは明らかに難易度が異なるフォーメーションで新たな世界観を提示してみせる。まるでこの公演中にメンバーが成長したのではないかと錯覚してしまうような、表現力にあふれたパフォーマンスを見せてくれた。
 

創作ダンスのようだと言ったら安直に過ぎるが、そう思えるほど新鮮な雰囲気を漂わせていた『電撃タクティクス』のフォーメーション

 そして迎えたアンコールでは、再びデビュー曲の『女の子むてき宣言!』。自分の家に戻ってきたかのようなホッとした気分が包み込む。

 代表曲を2回演じるのは若いグループで時々見られるパターンだが、「でんぱ組.incのZEPP TOKYOでも『Future Diver』を2回演ったよなあ」と思い出したのは、果たしてもふくちゃん繋がりというひと言で片づけてしまっていいのだろうか。早くも2年後、3年後の虹コンが楽しみになってきた。
 

ギターを得意とする木下ひよりが『Don't say "lazy"』をソロで熱唱。レフティでもレスポールでもないが、もちろん「けいおん!」である。

【セットリスト】

M1 女の子むてき宣言!(デビュー曲)
M2 ぴくしぶおんど
M3 制服のマネキン(乃木坂46)
M4 タンタンターン!(MilkyWay)
M5 今夜はブギーバック(スチャダラパー featuring 小沢健二)
M6 Soldier Game(ラブライブ!)
M7 Don't say "lazy"(桜高軽音部)
M8 プラチナ(カードキャプターさくら)
M9 電撃タクティクス(新曲)
EN1 女の子むてき宣言!
 
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