ライブレポ

雑草のように強く生きる決意を見せた! 大阪☆春夏秋冬ワンマンライブ『BEAT』大阪公演レポ

2016年08月18日 07時00分

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“しゅかしゅん”こと大阪☆春夏秋冬が地元に帰ってきた! 大阪を代表する大会場のなんばHatchにて8月11日、ワンマンライブ『BEAT ~鼓動~』が幕を開けた。3月に東阪2大ワンマンライブがサプライズ発表されたとき、メンバーたちはなんばHatchでの開催に大喜びし、そして大きな不安にも見舞われていた。あの大会場を埋められるのか。そして、そのステージにふさわしいパフォーマンスを展開することができるのだろうかと。
 

なんばHatchでのワンマンライブを成功させた大阪☆春夏秋冬。前列左から恵園、里奈。中央左から瑠奈、舞奈、茉奈。後列左から由奈、杏菜。

 昨年11月のワンマンでは江坂ミューズに満員の350人を動員したからこそ、そこからの進歩がなければ今回のワンマンライブを成功と呼ぶことはできない。しゅかしゅんに課せられたのは、これまでで最高のパフォーマンスを見せること。そして昨年8月の渋谷クアトロで動員した550人を超えること。いずれもアイドル熱が高まらないと言われる大阪ではかなり高い壁である。

 楽屋で控えるしゅかしゅんはいつものように、会場内を映すモニターを切っていた。楽屋とステージの階が異なるなんばHatchでは、客席の歓声が聞こえてくることもない。しかもメンバーが舞台袖まで足を運んだ時でさえ人の気配が感じられず、「ほんまに人、来てるんかな?」と疑心暗鬼に襲われたという。

 そして迎えた開演。6月の単独公演『JUMP』でも使われた心臓音のBGMがステージに鳴り響く。それに釣られて熱いビートを刻み始める少女たちの鼓動。期待と不安に押しつぶされそうになりながら、意を決してまばゆいステージへと歩を進める。そこで彼女たちの眼前に広がったのは、フロアを埋め尽くすファンの姿だった。猛獣のうなりのような「うぉーっ!」という怒号が広がり、そのエモい光景に早くも半泣きになるメンバーもいたほどだ。
 

バックダンサーを引き連れてワンマンライブをスタートさせた。

 そしてファンのほうも同じように不安を感じていた。アイドルのライブはアーティストとファンの双方で創りあげるもの。自分たちの応援でライブを成功に導けるのか。腹の底から声援を絞り出す彼らの前で始まったのは、地方発でまだメジャーデビューもしていないアイドルとは思えないほどの、華麗でゴージャスなパフォーマンスだったのだ。

 ライブの初っ端はダンスナンバー。ダンススクール仕込みのパワフルで自信に満ちたダンスが展開され、さらには無数のバックダンサーがステージを埋め尽くす。その様子は劇団四季のようとたとえたら言い過ぎか。ステージの中央には会場の中央を貫くでべそ(ランウェイ)が設置され、華麗なライティングワークで彩られたライブはもはや、ローカルアイドルという枠組みをはるかに跳び越えていた。これからどんなスペクタクルなステージを見せてくれるのか。いやが上にもファンの期待が高まってくる。

 そして本編1曲目はしゅかしゅんのデビューシングル『DAWN OF MY LIFETIME』。ワンマンの幕開けを告げる「人生の夜明け」でいきなり熱い魂を解放したかと思えば、続けては今年3月に披露したばかりの『Raise a FLAG!!』を投入。新旧のしゅかしゅんを対比させる姿は「私たちのすべてを見てほしい!」という気概の表われか。『Raise a FLAG!!』のラストではおなじみのフラッグが翻り、それまで躍動し続けていた彼女たちが見事な見栄を切ってみせた。
 

初っ端からしゅかしゅんらしい熱いパフォーマンスが繰り広げられた。

でべそを前提に練り上げられてきたフォーメーションで熱い魂を解放していく。

 そんな一瞬の刹那を、激しいドラムとギターが切り裂く。単独公演『JUMP』でも封印されていたカバー曲の『Kill the King』がファンの荒ぶった魂をさらに揺さぶる。舞奈が「Singin!」とオーディエンスをあおり、メンバーはヘビーなビートに頭を振りまくる。洋楽テイストを一つの特徴とするしゅかしゅんの魅力を目の当たりにした初見のファンは、その引き出しの多さに驚いたはずだ。

 ここでメンバーは長いでべそを存分に使い、客席の奥に切れ込んだ島の部分で曲をフィニッシュ。その場で「ハッ!」と叫んでジャンプしたらそう、空間を切り裂くムーブが特徴的な『モンキーマジック』だ。サビの「♪モンキーマージック!」を大合唱し、会場には多幸感があふれ出す。そんなオーディエンスたちにさらなるカタルシスを与えたのが、3連発のカバー曲となる『We Will Rock You』だ。

 他の2曲と異なり二番以降をオリジナルの日本語詞にアレンジした同曲では、サビで「大阪☆春夏秋冬!」のチャントを連呼。日本代表の試合に熱狂するスタジアムのように、今やなんばHatchは客席も一体化した祝祭の空間となり、全員が「大阪☆春夏秋冬!」のコールに酔いしれた。この一体感にひたってしまったらもう、しゅかしゅんのステージから離れることはできなくなるのだ。
 

舞奈以外のメンバーが正面に背中を向けながら地を這うような横ヘドバン。出べそを活用した立体的なステージングだ。

空間を切り裂き、引き寄せる『モンキーマジック』のムーブをボクらは待ち続けてきた!

オーディエンスから「オーサカ、シュンカ、シュートー!」のチャントを惹きだす茉奈と杏菜。

 ここでMC役の恵園を残してメンバーは退出。早着替えやトークタイムかと思いきや定番ダンスチューンの『Shame』(Basic Element)が流れだし、恵園が「ここでメンバー紹介したいと思います!」と絶叫する。今回の自己紹介はなんと、ダンスタイムだったのである。舞奈から順番に得意とするジャンルのソロダンスを披露。七者七様の動きからはメンバーごとの個性が伝わってくる。こんな見せ方もファンにとっては大歓迎だろう。

 再び全員がステージに揃うと、軽快なテンポのJ-POPナンバーである『妄想ラプソディ』、そして昭和歌謡ムードあふれる『戸惑い』でチェンジオブペースを図り、熱狂モードから聴き込みモードへと誘導。ここからはもう一つの面であるバラードの世界を展開だ。ここで披露したのは、昨秋のワンマンから封印し続けてきた『ロミオ』。ここぞという局面だけで歌われる大事な曲を、ついに解禁したのである。祈りを捧げるような舞、そして悲痛な表情で切々と歌い上げる姿に、いつしか客席は惹き込まれていく。
 

ソロダンスのラストにはメンバー全員でフリーダンスを披露。ガチなダンスシーンを展開できるのはしゅかしゅんの大きな強みだろう。

舞奈がステージを転げまわるシーンは『戸惑い』ならでは。でべそのおかげでその様子を四方八方から観賞できた。

何かの儀式を思わせるシーンが続出する『ロミオ』はまるでロックオペラの一シーンのようだ。

 さらに雨中での別れをモチーフにした『もしも逢えたなら』、そして、白い傘を手にしたメンバーが次々とヴォーカル舞奈との離合を繰り返す『Last Day』へと続く。止まない雨はない。そして雨が止んだあとには美しい虹が空に架かることをボクたちは知っている。

 そう、次の曲は七色の希望に満ちあふれた『レインボーカラー』だ。まるで組曲のように、ストーリー性を持つセットリストが聴く者の心を捉えて離さない。
 

ソロダンスを由奈がオーディションで勝ち取った『もしも逢えたなら』では、由奈と舞奈の絡みも見所の一つだ。

『Last Day』では舞奈と各メンバーの出会いが描かれる。同い年の杏菜とは実に5歳からの仲間なのだ。

文字通りの『レインボーカラー』がなんばHatchに光輝いた。虹の向こうに輝くのは希望の光だ。

 華やかな虹が架かり、いまや完全に晴れ渡った空。そこから差し込んでくる光は、まだ成し遂げていない未来の夢なのか。舞奈が「みなさんの夢 そして私たちの夢が 叶いますように」と語りかけ、『SHINE』が始まった。

♪ さあ Take it away. 始まりの Stage
♪ まだ成し遂げてない 掲げた It's my big dreams.

 こんな出だしで始まる『SHINE』は、大阪城ホールという夢を目指して突き進み、身の丈を超えた規模のワンマンライブに挑む大阪☆春夏秋冬の姿そのものではないだろうか。たしかにこの日はソールドアウトが叶わなかったかもしれない。それでもグループ史上で最大の動員を集め、なんばHatchの1階フロアをファンで埋めたという事実もまた、揺るがない実績だ。

 そして何より、ほかの誰にも真似できない、大阪☆春夏秋冬ならではのライブを見せることに大きな意味がある。その象徴的なシーンが、ここから展開されたダンスタイムだ。早着替えの時間をトークや映像で繋ぐのではなく、本職のダンサー16人が見応えのあるダンスを披露。さらに着替え終わったメンバーが加わり、総勢23人によるダンスタイムは、しゅかしゅんのステージが総合エンターテイメントとして構築されていることをまざまざと見せつけてくれた。このクオリティはもはや、どんな大会場で繰り出しても遜色のないレベルだと言えるはずだ。
 

『SHINE』の見せ場と言えばこの「観音様」のフォーメーション。おそらくは希望の源である太陽をも表わしているのだろう。

所属事務所のダンススクールを含む大阪中から実力派を集めたダンサー陣と互角のダンススキルで渡りあうしゅかしゅん。

 とは言えもちろん、ファンはダンスショーを観に来たわけではなく、アイドルグループのライブを楽しみにきている。そんな期待を裏切ることなく投入したのは、ファンクっぽさが色濃く薫る『BABY CRAZY』。イントロのメロディに呼応したファンはいつものように、「ダラッタッタッタ ダラッタラ~♪」とホーンセクションを口パクだ。

 再びテンションの上がったファンに向け、続くは6月の大阪単独公演で初披露したばかりの『What you gonna do』。今年投入した新曲の中でもハマるファンが続出する軽快なナンバーで上ずったテンションを持続し、やがて場内は暗転。7人が集まってロボットダンスのように手を動かせば、代表曲『カメレオン少女』の始まりだ。日本語なのに洋楽のように聴こえるのは、しゅかしゅんならではの持ち味のひとつ。新旧曲を織り交ぜながら、やがてライブは終盤へと雪崩れ込むように突っ走っていく。

 続けて、手持ちカメラの印象的なPVが人気の『C'mon!』。これまた洋楽テイスト満載の人気曲でしゅかしゅんワールドを構築していく。ここまでダンスナンバーなども含めて19曲を連続でパフォーマンスしてきたが、メンバーはもちろんファンの目にもダレは一切見られない。もっともっとこの場を楽しみたい。この空間にいる者はステージの上も下もひっくるめて、みんな欲張りなのだ。
 

幻想的なライティングのもと『カメレオン少女』の特徴的なイントロダンスが始まった。

四方八方に向かってアピールするメンバーたち。でべそを完全に使いこなしていた。

18曲目にも関わらず『C'mon!』ではブリッジで立ち上がるムーブを易々とこなす。そのフィジカル、恐るべし。

 そんな思いを発散すべく、メンバーがマフラータオルを手に飛び出してくる。今夏のTIFで4ステージにわたって披露し、すっかりしゅかしゅんの定番タオル曲として定着した『プラズマー』だ。会場中にしゅかしゅんのグッズでもある白地のタオルが翻り、夏に咲き誇る花が舞い踊っているかのようではないか。見るからに幸せな光景は、メンバーとファンの想いを歌に載せて、なんばHatchの高い天井へと昇華してくれたようにも感じられた。

 曲のラストでは客席にタオルを投げ入れ、本編はいったん終了。気が付けば1時間半近い時間が経っていたとは信じられようか。それほど濃密で熱い時間を楽しんだオーディエンスたちは、まだ最後のカタルシスを得られていないようだ。アンコール代わりの「しゅかしゅん! しゅかしゅん!」のコールが自然発生的に沸き起こる。
 

タオルを振りながらファンの待つほうに飛び出していく姿はまるで、メダルを獲得したスポーツ選手のようだ。

本編ラストでマフラータオルを客席にスローイン! ファンには最高のプレゼントとなったことだろう。

 メンバーも心得たもの。「BEAT」Tシャツに速攻で早着替えし、興奮冷めやらぬ会場に『Let you fly』のイントロが流れると、客席からは絶叫のような歓声が沸き起こる。どんなグループにも代表曲というものがあるが、しゅかしゅんにおいてこの『Let you fly』が持つ破壊力は計り知れない。彼女たちの魅力すべてが詰まったこの曲を聴かずして、大阪☆春夏秋冬のワンマンが終わるはずもないのだ。

 すでに全20曲を駆け抜けてきたしゅかしゅんだが、カラダの奥底から残る力を振り絞り、「Fly!」の掛け声とともに誰よりも高く、そして美しい飛翔を決めてみせる。リオ五輪で日本人選手たちが次々とメダルを獲得するなか、なんばHatchでは大阪☆春夏秋冬がメダル級の集団ジャンプ、そして腰から打ち込む激しいヘドバンを次々と繰り広げていた。

 そして気が付けば、でべその前でパフォーマンスするメンバーたちの背後に、先ほど華麗なダンスを見せてくれたダンサーたちも勢ぞろい。グループ史上最多の23人によるジャンプ&ヘドバンだ。オーディエンスの人数だけで言えば、TIFの3日目に観客が芝生席を埋め尽くしたスマイルガーデンのほうが多かったかもしれない。だが今日の客席は完全に心を一つにして、全員が肩を組んでの激しいヘドバン、そして「君を連れ出したいのさ~♪」の大合唱だ。会場が揺れるとは、こういう光景を指す言葉なのだろう。
 

まばゆいライティングのもと、力を振り絞ってヘドバンを打ち込む姿は美しい。

ステージの上と下、会場にいる全員が「君を連れ出したいのさ~♪」と指を突きだした。

本ステージで16人のダンサーもジャンプ! その頭上を跳び越えるかのようにしゅかしゅんが天高く舞い上がった。

 最後のジャンプを終え、すべてを出し切ったメンバーたち。ここでようやく、一人ずつが今日の想いを言葉にしてファンに伝える時間がやってきた。MCの内容はまとめて後述するが、一つ一つの言葉に少女たちの真意がこもり、決意に満ちあふれ、未来に向けての希望が散りばめられていた。あふれ出る想いに心の汗を止められないメンバーたち。そしてその言葉にやはり心の汗を絞り出すファン。すべてを出し切った後だからこそ、一つ一つの言葉が沁みてくるのであろう。

 そしてしゅかしゅん史上初のダブルアンコールで歌ったのは、この日が初披露となるオリジナル曲の『雑草』。その歌詞を噛みしめるように歌う姿に涙したファンも少なくなかった。

♪ たとえ踏まれたって
♪ 笑ってまっすぐに生きれたらいいな
♪ 雑草のように

 歴史あるダンススクールを基盤とすることから、エリートとみなされることもある大阪☆春夏秋冬だが、実際にはこの場にたどり着くまで苦渋の道を歩んできた。前身の「万葉シャオニャン」から長年にわたって地道な活動を続け、何度もくじけそうになりながら、ここまで這い上がってきたのである。2014年8月には東京で初の対バンライブに出演したものの、しゅかしゅん目当てのファンは5人しかいなかったのだ。

 昨年のTIFで見つかるまで何年も苦渋の時を過ごし、そのぶん一躍脚光を浴びて、日の目を見たしゅかしゅん。だが彼女たちは不遇の時を忘れることなく、この日のステージに臨んだのだ。観客が5人でも600人でも、同じように熱いライブを見せてくれたことだろう。そんな雑草のような強さをはらんだ決意を7人全員がマイクを手に歌いあげた姿は、ファンの心を打ったはずだ。
 

会場のファンとともに大きく手を振りながら雑草魂を歌いあげた。

 ワンマンライブという大きな場を、まさかの新曲で締めた大阪☆春夏秋冬。だがその目でライブを観たオーディエンスにとっては、ラストが新曲であることに何の疑問も抱かなかったことだろう。

 そんな熱い魂がこめられたワンマンライブは、8月21日に東京・Zepp Tokyoでも開催される。ほぼ同じセットリストではあるが、ライブは生き物だ。会場が変わればまるで別のライブのように新たなステージを見ることができるだろう。この8月にはTIFで6回のライブを重ねたしゅかしゅんだが、そのライブを観た人も観られなかった人も、現在進行形の彼女たちをその目で確かめに来てみてはいかがだろうか。期待を裏切らない熱いライブになることは間違いないはずだ。

次ページでは感動のメンバーMCを全文掲載!

(撮影・文/カゲ)
 

なんばHatchに詰めかけたファンと万感の思いで記念撮影に収まった。

【大阪☆春夏秋冬 ワンマンライブ】

『BEAT ~鼓動~ IN TOKYO』
2016年8月21日(日)東京都 Zepp Tokyo
OPEN 15:00 / START 16:00
チケット 前売り:3500円 / 当日:4000円(ドリンク代別途)

■大阪☆春夏秋冬 公式サイト
http://syukasyun.com/

■大阪☆春夏秋冬 公式ブログ
http://ameblo.jp/manyo-syaonyan/

 
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タグ: 大阪☆春夏秋冬